推進決議 2018

〔 日本キリスト教団 北海教区総会 〕
2018年度 アイヌ民族の権利を回復する運動の推進決議に関する件   

議案
アイヌ民族の権利回復と差別撤廃の運動を推進するために、以下の事項に取り組む。

1.学習・研修・交流・連帯活動

(1)アイヌ民族の権利回復と差別撤廃のため、関連する運動や学習会を支援し連帯する。また、集会等に積極
   的に参加する。・アイヌ遺骨返還等裁判協力、再埋葬儀式の協力 ・関連イヴェントに参加
(2)アイヌ民族関連の諸資料を収集し、提供する。機関誌(ノヤ)、北海教区通信、ホームページ、Eメール、
   Facebook等を通しての広報。
(3)アイヌ民族の歴史と現状を学ぶ現地研修の企画・実施。原稿執筆等の協力。
   ・アイヌ民族フィールドワーク実施
   ・北海道命名150年をアイヌ民族の歴史の観点から捉え直す学習会実施
(4)講師派遣による学習活動支援
   ・教職講座へ講師派遣、関連会議、集会への派遣。

2.台湾基督長老教会のディヴァン・スクルマン宣教師を支援し、世界の先住民族に関する課題を共
  有する。

(1)国家形成や植民地支配により、日本・台湾で行われてきた先住民族差別について、その歴史認
   識を深め、新たな関係作りを目指した学習・啓発活動の実施
(2)台湾基督長老教会の教会が培ってきた信仰や、先住民族宣教のあり方を学ぶ学習会等の開催。
   ・原住民族(ユエンツーミンツー)来道者との交流と学習会 

 
提案理由
 北海道と呼ばれているアイヌ・モシリ(人間の大地)は、もともとアイヌ民族が自然と共に生きてきた土地です。しかし、日本近代天皇制国家による侵略によって、アイヌ民族は土地も森も川も、自由に狩猟することも、さらに文化や言葉も奪われ、多くのいのちも奪われました。そしてその苦難の歴史は十分に省みられることなく、現在にいたってもアイヌ民族は厳しい差別にさらされています。そのアイヌ・モシリに宣教活動を行なったキリスト教会もまた、アイヌ民族の存在に無関心であるばかりか、アイヌ民族としてのアイデンティティを尊重せず、明治政府の同化政策に協力さえしてしまいました。わたしたち日本基督教団北海教区は、教会が侵略者・抑圧者の側に身をおいて歩んできた歴史を反省し、1985年にアイヌ民族の権利回復の働きを共にする目的でアイヌ民族委員会を、1996年に「アイヌ民族の権利回復と差別撤廃を教会が宣教課題として取り組むことを目的」(センター規約3条)としてアイヌ民族情報センターを開設し、ささやかながら連帯の取り組みを進めてきました。
 盗掘された先祖の遺骨の返還等を求めた裁判の和解と再埋葬が一昨年より続けられています。今年もすでに2件(新ひだか195体、埋蔵文化財36体)の提訴が行われ、北海道大学と札幌医科大学、さらに行政(新ひだか町、北海道)を相手取っての裁判が始まりました。この裁判の協力や再埋葬の儀式の協力を含めて今後も権利回復のための働きの手を休めることなく、アイヌ民族の皆さんに連なっていきたいと願います。
 今年は北海道命名150年を迎え様々なイヴェントが行われますが、アイヌ民族の歴史からこの150年を捉え直し、その問題を明らかにする学習会を計画します。さらに、恒例の各地区へ出かけてのフィールドワークも行い、アイヌ民族の皆さんと出会い交流しつつ課題を共有して行くことを望みます。そのことによってセンターの活動報告も各地で共有頂けることを願います。
 また台湾基督長老教会からお迎えした原住民の教師、ディヴァン・スクルマン宣教師は5期13年目の活動を始めます。アイヌ民族情報センタースタッフとして豊かな活動を続けて下さっています。特に台湾原住民のアイヌ民族研修に積極的な活動を展開しています。昨年同様、台湾原住民族の方達をお迎えして文化と信仰の交流を計画します。加えてカナダの先住民族を含む世界の先住民族の出会いと学び、交流をします。
 以上の理由から、今年度もアイヌ民族の権利回復と差別撤廃、先住民族に関わる諸課題を教区・教会の宣教課題として、積極的に取り組むことを提案します。