議案
アイヌ民族の権利回復と差別撤廃の運動を推進するために、以下の事項に取り組む。
1.学習・研修・交流・連帯活動
(1) アイヌ民族の権利回復と差別撤廃のため、関連する運動や学習会を支援し連帯する。また、集会等に積極的に参加する。
(2) アイヌ民族関連の諸資料を収集し、提供する。機関誌(ノヤ)、教区通信アイヌ民族委員会の頁、ホームページ、Eメール等を通しての広報。
(3) アイヌ民族の歴史と現状を学ぶ現地研修の企画・実施。原稿執筆等の協力
(4) 講師派遣による学習活動支援
2.台湾基督長老教会のディヴァン・スクルマン宣教師を支援し、先住民族に関する課題を共有する。
(1) 国家形成や植民地支配により、日本・台湾で行われてきた先住民族差別について、その歴史認識を深め、新たな関係作りを目指した学習・啓発活動の実施
(2)台湾の原住民(ユェンツーミン)教会及び原住民族(ユェンツーミンツ)との交流
(3)台湾基督長老教会の原住民(ユェンツーミン)教会が培ってきた信仰や、先住民族宣教のあり方を学ぶ学習 会等の開催
注)台湾の先住民族は自らを「原住民(ユェンツーミン)」と称しておられます。したがって、アイヌ民族委員会としましても、台湾の先住民族の総称としては「原住民(ユェンツーミン)」、或いは「原住民族(ユェンツーミンツ)」という呼び方に統一しています。
提案理由
北海道と呼ばれているアイヌ・モシリ(人間の大地)は、もともとアイヌ民族が自然と共に生きてきた土地です。しかし、日本近代天皇制国家による侵略によって、アイヌ民族は土地も森も川も、自由に狩猟することも、さらに文化や言葉も奪われ、多くのいのちも奪われました。そしてその苦難の歴史は十分に省みられることなく、現在にいたってもアイヌ民族は厳しい差別にさらされています。
そのアイヌ・モシリに宣教活動を行なったキリスト教会もまた、アイヌ民族の存在に無関心であるばかりか、アイヌ民族としてのアイデンティティを尊重せず、明治政府の同化政策に協力さえしてしまいました。
わたしたち日本基督教団北海教区は、教会が侵略者・抑圧者の側に身をおいて歩んできた歴史を反省し、1985年の二風谷ダム裁判の際に、アイヌ民族の権利回復の働きを共にする目的でアイヌ民族委員会を設置し、さらに、1996年に「アイヌ民族の権利回復と差別撤廃を教会が宣教課題として取り組むことを目的」(センター規約3条)としてアイヌ民族情報センターを開設し、ささやかながら連帯の取り組みを進めてきました。アイヌ民族がなお厳しい現実に生きざるを得ない中で、これらの取組を今後さらに発展させていくのは、大切な宣教の課題だと言えます。
2008年に衆参両議院において「アイヌ民族を日本の先住民族として求める」決議がなされ、現在、内閣官房にアイヌ総合政策室が設置され、アイヌ政策推進会議が組織されて新たな施策の確立に向けた取組みが始まっています。また、アイヌ民族を含めた多くの者が権利回復のために学習会を重ね、活動をしている中、わたし達も働きの手を休めることなく、アイヌ民族の皆さんに連なっていきたいと願います。
開設以来、主事や活動委員により地道にしかし具体的に取り組まれてきたアイヌ民族情報センターの取り組みは、差別や偏見の前にまだまだ微力ではありますが、着実にアイヌ民族との出会いを広げ、権利回復と差別撤廃に向かう方向性を確かなものにしています。「平和を生きる神の民」として、今後さらに私たち北海教区がアイヌ民族と共に歩む教会となっていくために、情報センターがより一層用いられることを期待します。
また台湾基督長老教会からお迎えした原住民の教師、ディヴァン・スクルマン宣教師はアイヌ民族委員会の一員として、より積極的な活動を展開され、多くのアイヌ民族の皆さんと関係を深めています。さらに、台湾からの研修や、台湾への研修においても通訳者としてよき働きをされています。これらの取り組みを今後も積極的に展開していくことにより、アイヌ民族だけにとどまらない、世界の先住民族と共に歩む教会として、私たちは成長することができるでしょう。
以上の理由から、今年度もアイヌ民族の権利回復と差別撤廃、先住民族に関わる諸課題を教区・教会の宣教課題として、積極的に取り組むことを提案します。
※北海教区第71回定期総会(2011年5月5〜6日)議案第19号として可決
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